滋賀県では、「平成20年度滋賀県自主防災組織リーダー研修会」を東近江市にある滋賀県消防学校を会場に、平成21年1月15日(木)、16日(金)の2日間の日程で開催しました。
この研修会は、防災に関する知識や技術を習得していただくことにより、大規模災害発生時に県内各地域の自主防災組織が迅速・的確に活動できるよう、リーダーとして活躍できる人材の育成を図ることを目的に、自主防災組織、自治会などの役員を対象として、財団法人日本防火協会と滋賀県の主催で行ったもので、県内から27人が参加しました。
1日目は、県防災危機管理局 田中副局長のあいさつ、研修日程等の説明の後、県の防災危機管理局および流域治水政策室の職員を講師に「滋賀県の防災対策について」の講義から研修を開始、琵琶湖西岸断層帯による直下型地震をはじめとする地震防災対策や近年の地球温暖化の影響で頻発している集中豪雨による水害に対して流域全体で備える流域治水政策など、防災対策に関する基礎的な知識の説明が行われました。
「防災とまちづくり」について講演する
富士常葉大の池田教授 午後からは、富士常葉大学の池田浩敬教授に「防災とまちづくり」と題して講演をいただき、地震災害からの復興まちづくりをイメージし計画することが日常のまちづくりにつながること、耐震補強が必要とされる理由の解説、地域で耐震化に取り組んでいる先進的事例の紹介など、示唆に富む話に参加者は熱心に聴き入り、講義後の質疑応答も活発に交わされました。
その後、防災危機管理局職員を講師に、5班に分かれて「災害図上訓練DIG」を実施しました。名神高速道路八日市インター周辺の住宅地図を畳1畳分程度つなげたものに、地域の道路や河川の状況、倒壊のおそれのある住宅や崩落のおそれのある橋りょうなどの危険箇所、消火栓、病院などの災害時に頼りになる施設や設備などを地図上に色分けして書き込みながら、地域の災害に対する強みと弱みを知る手法を体験、参加者は皆熱心に取り組んでいました。
災害図上訓練DIG DIG終了後、班分けをそのままに「各地域の自主防災活動の課題と活性化について」をテーマにグループ討議を行いました。講演やDIGを振り返りながら、地域で「共助」による自主防災活動に取り組む上での課題と自主防災活動を一層活性化するためにはどのようにすればよいのか話合い、意見を用紙へ書き込んで模造紙に貼り付け、各班より発表しました。
この日の最後は、防災危機管理局職員の進行により、先ほどの班分けで被災時に実際に直面すると考えられる問題(ジレンマ)をカードゲーム形式で体験する「防災ゲーム・クロスロード」を行い、参加者同士の会話も弾み大いに盛り上がりました。
災害救助用ジャッキを用いた救助訓練 2日目は、消防学校教官を講師に「災害救助・応急手当」の実技研修を行いました。災害時の負傷者に対する止血法の講習や災害救助用のジャッキを使い倒壊家屋に見立てた角材からの救助訓練が実施され、参加者は真剣な表情で取り組んでいました。
その後、バスに乗り込み消防学校を出発、岐阜県広域防災センターの見学へ向かいました。防災センター職員から岐阜県における防災対策の取組みについて説明を受けた後、県災害対策備蓄倉庫の見学、煙体験、地震体験機による地震体験を行いました。参加者は火災時、煙によって視界を失うと避難行動が著しく困難になること、激しい地震動ではまともに立っていることすらできなくなることなど、かつて経験したことのない体験に一同驚愕するとともに、事前の防災対策の必要性を痛感されていました。
岐阜県災害対策備蓄倉庫を参加者が見学 消防学校へ戻り、研修の締めとして閉講式を実施、修了証及び記念品が各参加者に手渡され、2日間の研修を終えました。
この研修は1泊2日の宿泊研修であり、食事や就寝前の自由時間などにおいても参加者同士の交流や意見交換が活発にされていました。参加者の皆様には今後、本研修の成果を踏まえ各地域での自主防災活動に、より一層取り組んでいただくことを期待しています。