HOME  > 防火ネットニュース11月号  > 3.自主防災組織リーダー研修会開催〔福岡県、山形県〕

2009年11月

3.自主防災組織リーダー研修会開催〔福岡県、山形県〕

目次 次頁次頁

福岡県総務部消防防災課

 地域における自主防災組織の活性化や組織づくりを積極的に推進する人材の育成を目的に、(財)日本防火協会と福岡県との共催で「平成21年度福岡県自主防災組織リーダー研修会」を以下のとおり開催しました。
【日程】平成21年10月26日(月)から27日(火)の2日間(1泊2日)
【会場】福岡県立社会教育総合センター(篠栗町)
 今年は、新型インフルエンザの影響が懸念されましたが、県内各地から66名の方に参加いただきました。


熱い議論が行われたグループ討議
『気象に関する講演』
 福岡管区気象台技術部予報課の福永防災係長から「防災気象情報の利用-平成21年7月豪雨時に気象台は何を発信したか-」と題するテーマで講演いただき、深刻な被害をもたらした豪雨災害の特徴やメカニズム等について振り返りながら、リアルタイムで収集した情報をいかに活かすか、その端的なポイント提示が行われました。
 講演後の質疑応答では、時間を超過するほどの盛況ぶりとなりました。
『グループ討議』
 グループ討議では、当研修会を通底するテーマである「リスク・コミュニケーション」の基礎編として、あらかじめ設定された自主防災組織に関する課題研究を通じ、災害に対する主体的、能動的な関与(判断)の涵養を行いました。
 コミュニケーションが主なねらいであったため、いったん高まった議論がなかなか収束せず、参加者アンケートの結果では、回答者の約3割が時間不足を感想として挙げることとなりました。

三角巾を自在に使った応急手当法
『応急手当講習』
 初日を締めくくる講座として実施された応急手当講習では、日本赤十字社福岡県支部の指導員3名による懇切丁寧な指導のもと、三角巾を自在に使った応急手当法についてご指導いただきました。
 多くの参加者からは、何の変哲もない布がここまで様変わりし、活用できることに大変驚き、また参考になったという意見が出ていました。



熱の入った災害図上訓練
『災害図上訓練及び講演』
 2日目は山口大学の瀧本浩一准教授による災害図上訓練及び講演を実施しました。
 訓練開始前に、まず、図上訓練を実施する目的や効果等の説明や「防災」、「減災」等キーワード解説をしていただきました。図上訓練を単なる「防災ショー」と見なす先入観を一切捨て去り、絶えず「机上による検討」と「現場での検証」が往復し続けなければ意味をなさないとの説明で、参加者もこれですっかり目の色が変わり、終始、熱気に満ちた講座となりました。
 また、図上訓練の合間に模造紙を使った演習・発表も取り入れられ、絶えず発想の転換と新たな理論の注入が行われ続けました。
 午後も、引き続き瀧本先生から「持続可能な防災コミュニティづくり」と題して、日々の町内会行事が工夫次第で立派な防災活動に転用できるヒント等多彩な話題で講演をいただきました。
 草刈りや花見といったごくありふれた町内会活動がいかに防災と結びつく可能性を秘めているか、具体的な事例をふんだんに交えながら、既存資源を用いた地域防災の再構築について、様々な提言がなされていました。
 参加者からのアンケート結果では、回答者のほぼ半数が最も印象に残った講座に挙げるなど相当の反響だったことが窺い知れます。
『修了式ほか』
 修了式では、(財)日本防火協会の佐藤幸男課長より修了証と記念品が手渡され、2日間の研修を終えました。
 この研修は、宿泊で行われており、講習以外の時間においても、参加者同士の意見交換等が活発に行われていました。


長崎県・松本会長による活動発表

首里城公園を視察
このページの上に戻る

山形県総務部危機管理室総合防災課

 山形県では、10月22日(木)、23日(金)の2日間、長井市の「山形県置賜総合支庁西庁舎」において「平成21年度山形県自主防災リーダー研修会」を開催しました。
 この研修会は、自主防災組織の指導的立場にある者等を対象に、高度な知識、技能を習得させるとともに、その役割についての自覚を高め、地域における自主防災組織活性化のために活躍できる人材を育成することを目的に、(財)日本防火協会と山形県の共催で開催したもので、県内各地から43名が参加しました。
 22日(1日目)の午前は「開講式」、座学(「山形県の災害対策」、「自主防災組織の役割」)、午後は「救命講習」が行われました。

消防職員に直接指導を受けて救命講習
 はじめに、「開講式」では、山形県総務部危機管理室の石塚雅啓総合防災課長があいさつをしました。
 「山形県の災害対策」では、県危機管理室総合防災課の前田秀男防災主査が県内で発生した主な災害、県内四つの主要断層帯による被害想定、大規模地震に対する県の対策、風水害に対する注意点などを紹介しました。また、受講者は、防災○×クイズを通して、これまでに蓄積した防災知識の再確認を行いました。
 「自主防災組織の役割」では、県危機管理室総合防災課の吉田隆行防災主査が住民、市町村、県などの災害に対する役割を説明しながら、自主防災組織が災害時に備え日頃から行うべき活動などについて、実例を交えて紹介しました。
 「救命講習」では、西置賜行政組合消防本部の5名の職員から心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物の除去などについての指導を受けました。救急隊に引継ぐまでの一連の流れを確認した後、5班に分かれて実技を行いました。受講者は、終始真剣な表情で取組んでいました。

 23日(2日目)の午前は「活動事例発表・活動事例紹介」、講義「地域防災とまちづくり」、午後は演習「災害図上訓練(DIG)」及び「閉講式」が行われました。

瀧本教授による「地域防災とまちづくり」
 「活動事例発表・活動事例紹介」では、川西町の佐藤政雄さんと長井市の若月正孝さんが、それぞれの自主防災会における活動事例を発表し、また、上山市庶務課の永石将人主事が上山市内の様々な自主防災活動を紹介しました。地域における災害時要援護者支援の方法や、防犯と連携した防災活動などが報告され、活発な質疑応答も踏まえ、受講者は今後の活動に向けた大きなヒントを得ました。
 「地域防災とまちづくり」では、山口大学大学院理工学研究科の瀧本浩一准教授による講義が行われました。時間軸で見る災害対応、地域防災の進め方、災害時要援護者支援、防災とまちづくりとの連携などについて御指導いただきました。ジョークを交えた巧みな話術に、受講者全員が引き込まれていくようでした。

7班に分かれて災害図上訓練
 「災害図上訓練(DIG)」では、瀧本准教授と防府/防災ネットワーク推進会議の山崎隆弘事務局長から御指導いただきました。災害図上訓練の目的や実施手順の説明を受けた後、7班に分かれて訓練を実施しました。 講師の御配慮により、風水害をテーマにした場合と、地震災害をテーマにした場合の2パターンを体験できる豪華版で、椅子に座ることを忘れてしまう受講者もおり、非常に熱心な災害図上訓練となりました。
 最後に、「閉講式」では、(財)日本防火協会の冨田静夫課長から修了証の授与及び記念品の贈呈、閉講のあいさつをいただき、2日間にわたる研修会は終了しました。
 なお、研修会のアンケート結果をみてみますと、受講者の86%が大変有意義であったと回答しております。
 このため、今後も継続して研修会を開催し、より多くの県民に自主防災活動に対する関心を持っていただくとともに、地域での活躍が期待できる防災リーダーを養成していきたいと考えております。

このページの上に戻る
目次