京都府 福知⼭市消防本部
救出訓練の状況
福知⼭市消防本部では、各地域に防災リーダーを育成配置
することにより、⾃主防災組織の⽴ち上げの⼿助け、及び災
害発⽣時のリーダーシップの発揮等防災活動の向上を目指す
ことを目的に⾃主防災リーダー養成講座(初級・中級)を平
成14年度から開講しています。
初級講座は⾃治会⻑、⼜は⾃治会⻑の推薦を受けて、災害
等の発⽣時に中⼼的役割を担っていただける⽅を対象に、⾃
主防災の必要性についての座学と、クラッシュシンドローム
に注意しながらの屋内での⾞両⽤ジャッキ等を使⽤しての救
出訓練、三角⼱の使⽤⽅法や応急担架作製等の救護訓練、A
EDの取扱い訓練、バケツリレーやポリ袋を使⽤しての消⽕訓練を3時間の内容で年2回⾏っていま
す。
AEDの取扱い訓練
消⽕訓練の状況
中級講座は⾃主防災組織の⽴ち上げが⾏われている⾃治会のうち、初級講座の修了者で⾃治会⻑の
推薦を受けた⽅に、各グループに別れての災害図上訓練(DIG等)⼿法の習得や初級講座での実技
訓練をとりいれた発災対応訓練を3時間の内容で⾏っています。
座学や図上訓練には、(財)⽇本防⽕協会からの補助を受けて購⼊した資機材を活⽤しています。
⾃主防災リーダー養成講座は、今年度の受講者を含め初級講座1231名、中級講座194名の⽅に
受講していただき、初級講座への⾃治会の参加率も88%となりました。
⻑崎県危機管理防災課
防災に関する実践的知識と技術を有し、地域における防災活動等の中⼼的役割を担う⼈材の育成を
目的に、(財)⽇本防⽕協会と⻑崎県との共催で「⻑崎県防災推進員(⾃主防災リーダー)養成講
座」を以下のとおり開催しました。
【⽇程】平成21年11⽉14⽇(⼟)から15⽇(⽇)の2⽇間
【会場】⻑崎⻄彼農協ビル(⻑崎市)
1⽇目
『地震のしくみと被害』『⽕⼭のしくみと被害』
講師︓九州⼤学⼤学院理学研究院附属地震⽕⼭観測研究センター 教授 清⽔ 洋 ⽒
- 海溝型地震や内陸地震のメカニズムについての説明の後、⻑崎県内で想定される地震について説
明いただきました。
- ⻑崎県内の地震については、「⻑崎県地震等防災アセスメント調査報告書 平成18年3⽉ 」に
調査結果が掲載されています。
課題についてグループで討議
- 雲仙活断層等による地震の震度想定や被害想定がわか
り、県内においても震度6強から震度7の地震が起こ
りうることが報告されています。
- ⽕⼭の現象は多様(溶岩流、⽕砕流、岩なだれ(⼭体
崩壊)、泥流(⼟⽯流)、噴⽯(⽕⼭弾)、降灰、⽕
⼭ガス等)であり、現象について、よく理解しておく
必要があります。
- ⽕⼭災害を軽減するためには、住⺠・科学者・⾏政・
マスメディアの4者が協⼒して防災体制を構築するこ
とが必要であるとの説明がありました。
『災害とボランティア』『避難所運営ワークショップ』
講師︓⼤阪⼤学コミュニケーション・デザインセンター 特任講師 菅 磨志保 ⽒
- ⼤規模な地震災害時には、避難所が設置され、被災して
⼤きなストレスを抱えた⼤勢の避難者が集団⽣活を営
み、それを⾏政、ボランティア等、様々な⼈が⽀えま
す。
- 被災者は「それぞれ異なる事情を抱えた⼈間」という事
実に気づいてもらい、本当に意味のある活動とは何か、
個々の被災者が求める⽀援は何かを考えていくため、実
際に起こった事象を基に作成された課題について、グ
ループワークにより、課題解決のための検討が⾏われま
した。
- 「ペットの⽝を連れた⾼齢⼥性が体育館に避難してきて、先に避難していた住⺠から、⼊館を断
られて、⼊り⼝で押し問答をしている。その⼥性の話では、さらにネコ2匹をつれた⾼齢⼥性が
1⼈と、ウサギ1⽻を連れた⾼齢男性1⼈がこちらに向かっているという。この対応をどうする
か」「トイレが詰まってきた。何とかしてくれと声が⾼まっている。⽔道は依然断⽔が続いてい
る。どう対応するか」などの課題について、グループ討議を⾏いました。
- このワークショップを通じ、実際に被災したときのことを想像し、あらかじめ備えておくべきこ
とについて考え、防災に対する⾏動を起こしていくことが期待されます。
(参考)『災害ボランティア実践ワークショップガイド(⼈と防災未来センター)』
2⽇目
『災害情報と避難』『地域の実際の取り組み事例』
講師︓群⾺⼤学⼤学院⼯学研究科 教授 ⽚⽥敏孝 ⽒
- 本年(平成21年)8⽉の台風第9号において、兵庫県佐⽤町で避難中に橋を渡って避難場所に
向かっている途中に流された事例や、昨年(平成20年)の兵庫県の都賀川において、親⽔河川
において、数分間でいっきに川が増⽔し、川遊びをしていた⼦供たちが流された事例について説
明いただきました。
防災マップやハザードマップづくり- ⾃治体から発信される河川の⽔位情報や避難勧告等の
情報には限界があるので、地域に住む住⺠⾃らが、そ
の地域の特徴や災害から⾝を守るために受けついでき
た知恵を伝承し、災いをやりすごす知恵(⾃分⾃⾝の
⾝をどうやって守っていくかという知恵)をいかにし
て、⾝につけていくかが最⼤の課題になっています。
- マップやハザードマップが有効であり、講師が地域に
⼊って住⺠と⼀緒に防災マップづくりを⾏った事例に
ついて解説いただきました 最後に災害に対する⽇頃
から備える必要があることから、「居安思危(こあんしき)」 やすきにありて、あやうきをお
もうという⾔葉をいただきました。
『気象災害(⼟砂災害)』
講師︓⻑崎⼤学⼯学部 教授 ⾼橋和雄 ⽒
- 1982年の⻑崎豪⾬災害(死者・⾏⽅不明者299⼈、1時間⾬量187mmを観測)におけ
る、被害の概要、災害の特性等について説明がありました。
- 同災害の教訓として、⼤規模災害時には、警察、消防等の機関は、すべての被害に対応できるわ
けではないので、⾃主防災組織等による対応が必要。また、わかりやすい情報を住⺠に届けるた
めの⼯夫が必要とのことでした。
- 特に、1時間に100mmを超える⾬の場合は、⾞の取り扱いについても注意が必要で、⻑崎豪
⾬の際は、2万台が流されています。
- タイヤ半分(10cm)の⽔深では早めに⾼台の安全な場所に移動すること、洪⽔時の避難には
⾞を使⽤しないこと、ドアステップ(30cm)の⽔深では歩道側に⾞をよせてキーを付けてお
くことなどの説明がありました。
『近年の災害に学ぶ』『災害史に学ぶ』
講師︓NPO法⼈防災情報機構会⻑、元NHK解説委員 伊藤和明 ⽒
- 平成の雲仙普賢岳噴⽕災害等、近年の災害の特徴及び過去の災害から学び、今後の防災対策に⽣
かすため、各種災害についての解説をいただきました。
- 東海地震、東南海地震、南海地震の各域において、繰り返し⼤規模な地震が発⽣し、多くの場
合、連動して起きています。1944年の東南海地震、1946年の南海地震が起きているが、
東海地震域のみが残されています。今後、30年以内に発⽣する確率は、東海地震で87%とい
う結果が出ております。
- 1896年明治三陸地震津波(死者 約22,000⼈)においては、地震の規模が⼩さかった
ため津波は来ないと考えた⼈たちを襲っている。揺れの弱い地震でも津波がくることがある(津
波地震)、地震を感じなくても津波がくることがある(遠地津波)ということを知っておく必要
があると説明がありました。
『救急講習』 119番通報の際の注意事項やAEDの使⽤⽅法等について説明いただきました。
最後に、「閉講式」では、(財)⽇本防⽕協会の⽔村様から修了証の授与及び記念品の贈呈、閉講
のあいさつをいただき、2⽇間にわたる研修会は終了しました。
なお、研修会のアンケート結果をみてみますと、受講者の⼤半が⼤変有意義であったと回答しており
ます。
このため、今後もこのような研修会等を通じ、より多くの県⺠に⾃主防災活動に対する関⼼を持っ
ていただくとともに、地域での活躍が期待できる防災リーダーを養成していきたいと考えておりま
す。