我が国では毎年、自然災害により多くの尊い人命が失われていますが、大雪となった年には、雪害により多くの方が亡くなっており、
特に、平成18年豪雪では、152人にも上る多数の方が亡くなっています。昨冬期(平成27年11月~平成28年3月)の雪害では、一冬に27人の方が亡くなりました。
また、平成26年2月には関東甲信地方、同年12月には徳島県等の普段雪が少ないところで大雪となったことで、孤立や交通障害、停電等のライフライン被害が発生しています。
そこで、大雪、暴風雪等が予想される場合に、安全を確保するために心がけるべきポイントとして、以下のようなものが挙げられます。
(在宅時の安全な過ごし方に関すること)
- 不要不急の外出を避ける
- 懐中電灯、携帯ラジオ、食料、飲料水等の準備
- FF式暖房機(※)の給排気口付近の除雪状況の確認
※燃焼用空気を室外から給排気筒を通して取り入れ、燃焼により発生した空気を給排気筒を通して室外に出す方式
(車両運転者等に対すること)
- できる限り車両の運転は避ける
- 事前の気象情報、道路情報等の確認
- 車両の点検整備の確実な実施
- 防寒着、長靴、手袋、カイロ、スコップ、牽引ロープ、毛布、飲料水、非常食等の準備
- 道路状況に応じた無理のない運転
- スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの早期装着
- 暴風雪の際の早期避難
- 車両の走行不能時の早期の救助依頼、車両内での待機、マフラーの定期的除雪、適切な換気による一酸化炭素中毒の防止
- 立ち往生してやむを得ず車を離れる場合には、ドアをロックせずキーを車内の分かりやすい場所に残すこと
(防災気象情報等の活用)
- 気象情報、注意報及び警報を活用して早めの行動をとる
また、雪害における人的被害は、除雪作業中の事故によるものが多く、主な原因には以下のようなものが挙げられます。
- 除雪作業中の屋根、はしごなど高所からの転落
- 除雪作業中の水路等への転落
- 除雪機の事故(巻き込まれなど)
- 屋根からの落雪
- 除雪作業という重労働による発作
除雪時には、特に以下の項目に注意して、作業を行い、事故を防止しましょう。
【命を守る除雪中の事故防止10箇条】
- □ 作業は家族、隣近所にも声を掛けて2人以上で!
- □ 建物の周りに雪を残して雪下ろし!
- □ 晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!
- □ はしごの固定を忘れずに!
- □ エンジンを切ってから!除雪機の雪詰まりの取り除き
- □ 低い屋根でも油断は禁物!
- □ 作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
- □ 面倒でも命綱とヘルメットを!
- □ 命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!
- □ 作業のときには携帯電話を持って行く!
命綱、ヘルメットを装着して作業する様子
(提供:新潟県)
「よくある除雪作業中の事故とその対策」(内閣府、国交省)参照。この他にも除雪作業中の注意点等が掲載されていますので、参考にしてください。
(http://www.bousai.go.jp/setsugai/pdf/h2312_004.pdf)
消防庁では、降積雪期を迎えるに当たり関係都道府県に対して、人命の安全確保を最重点とする雪害対策に万全を期すよう要請し、防災態勢の一層の強化を呼び掛けています。
今年もこれから本格的な雪のシーズンを迎えます。雪による事故への備えを怠らず、自助・共助・公助のもと雪害に強い安心安全なまちづくりを進めていきましょう。
(総務省消防庁「消防の動き 2016年12月号より」)